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部長職の半数が定年延長で物議 新採にあおりも

投稿日時: 2015-03-09 18:54:53 (1251 ヒット)

以下、引用です。

  今年度で定年を迎える部長職4人を一律に定年延長することを決めた岩手県八幡平市の人事が物議を醸している。定年延長は、公務運営に著しい支障が生じる場合に特例として認められる。市は「部長職4人の知識と経験が必要」と主張するが、市議会などからは「恣意しい的な人事と見られかねない」との批判が出ている。

 市によると、定年を延長するのは8人いる部長職のうち、企画総務部長、市民福祉部長、産業建設部長、会計管理者の4人で、期間は1年。

 来年度は合併により八幡平市が誕生して10周年にあたり、今後の市の方向性を示す「第2次総合計画」を策定する予定。田村正彦市長が「10年前の第1次計画に携わった者の知恵が欲しい」と定年延長を決めた。必要な人件費は約3200万円を見込み、人数調整のため、4人分の新規採用を控えた。残りの部長職4人は来年度末に定年を迎える。

 職員を定年後も働かせるには、一般的に給与や役職が下がる「再任用」という方法もある。しかし、市は「再任用では部長職のままとすることが難しく、意思決定に加われない」とする。

 今回の市の決定に対し、市議会の複数会派が反発している。「今の課長が部長に昇進したら業務に支障が出るのか」(共産・米田定男市議)。別の会派の市議は「イエスマンだけを残す恣意しい的な人事と受け取られかねず、容認できない」と批判する。

 同市職員組合は「定年延長を行うのであれば、希望する全ての職員に適用すべき」として、幹部だけの定年延長に反対している。

 県市町村課などによると、県内では13年度に大槌町で土木系の技術職員が1人、12年度に奥州市で医師が1人、定年延長後に退職した。11年度は計41人もいたが、東日本大震災により職員が亡くなるなどし、人材確保のための緊急措置だった。

 総務省は「定年延長は、『過疎地の医師が定年を迎えるが後任がいない』といった場合などに使われる特例」と説明し、「適切かどうかは各自治体の判断だが、幹部職員4人がまるごと残るケースは聞いたことがない」としている。

 過去には、大阪府堺市や池田市、奈良県香芝市が職員の定年を不必要に延長したなどとして給与の返還を求める訴訟を起こされ、いずれも市側が敗訴している。

 八幡平市の田村市長は、読売新聞の取材に対し、「4人の退職で業務に支障が出ると判断した」と述べ、問題はないとの意向を示した。

 立命館大の鵜養幸雄教授(公務員制度)は「定年延長は個々に合理的な理由があることが前提。複数の幹部が横並びというのは不自然。市側はこの人たちを外すと市政運営ができなくなるという理由を分かりやすく説明する必要がある」と指摘している。(鶴田裕介、岡本立)

 ◆定年延長 地方公務員法では、「職務の特殊性または特別の事情がある」などの要件を満たす場合に限り、特例として最長3年、給与や役職を維持したまま勤務延長することを認めている。「再任用」は給与は抑制され、ポストも退職時点より低くなるのが一般的。

(3月7日 読売新聞)